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医療費と保険料の免除

赤ちゃんとのお別れに直面した際、不安なことの1つとして、分娩や手術にかかる費用負担や働けない期間の収入の減少など、お金に関することが挙げられます。

ここでは、医療費や保険料の免除など、支出負担の軽減に関する制度について説明していきます。

お金に関する話や手続きの中に出てくる「社会保険」という言葉に混乱する方も少なくありません。
まずは、こちらから「社会保険とは」の項目を再度確認してください。

勤務先で社会保険に加入している方

社会保険料の免除

社会保険料とは、社会保険に対してかかる保険料のことです。
会社などで働く方のうち、社会保険の被保険者の方は、毎月の給与から健康保険料と厚生年金保険料が同時に天引きされています。
本人から控除した社会保険料に会社が負担する社会保険料を足して、毎月会社が日本年金機構と健康保険組合に納付する仕組みとなっています。
天引きされた保険料は、毎月受け取る給与明細で確認することができます。

【概要】
産前・産後休業中の社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料)は、申請することによって本人分・会社分のどちらも免除されます。
厚生年金保険料については、納付した保険料によって将来の年金額が決まります。そのため、納付がなければ年金額も減ることになりますが、産前・産後休業中及び育児休業中は特例として、免除を受けていても保険料を納めたものとして取り扱われ、将来の年金額への影響はありません。

【対象者】
勤務先で社会保険に加入している方(被保険者)
※妊娠4ヶ月(12週)以上の出産(流産、死産、早産、人工流産も含みます)が対象です

【手続き】
免除の手続きは、本人ではなく会社が行います。
届出の期限がありますが、間に合わなかった場合は速やかに管轄の年金事務所へご確認ください。

日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生、無職の方

国民年金保険料の免除

国民年金保険料とは、国民健康保険に加入の方が、国民年金の被保険者として支払っている「年金保険料」のこと(2023年度現在、1ヶ月あたり16,520円)

【概要】
国民年金第1号被保険者(日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生、無職の方など)が出産した際、出産予定日または出産日が含まれる月の前月から4ヶ月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が含まれる月の3ヶ月前から6ヶ月間)の国民年金保険料が免除される制度のことです。
次世代育成支援の観点から2019年4月に始まりました。
なお、支払った国民年金保険料は将来の年金額に影響しますが、産前・産後期間は特例として、免除を受けていても保険料を納めた期間として扱われます。

したがって、経済的理由などにより、すでに国民年金保険料免除・納付猶予、学生納付特例を受けている場合でも、産前・産後期間の免除の届出をすることをおすすめします。

【対象者】
国民年金第1号被保険者
ただし、国民年金の任意加入期間は対象になりません。
※妊娠4ヶ月(12週)以上の出産(流産、死産、早産、人工流産も含みます)が対象です

【手続き】
出産予定日の6ヶ月前から届出できるため、早めに手続きをしておきましょう。

国民健康保険料の免除

【概要】
2024年1月から、法改正により産前・産後期間(出産予定日または出産日が含まれる月の前月から4ヶ月間。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が含まれる月の3ヶ月前から最大6ヶ月間)の国民健康保険料が免除されます。出産後でも届出が可能です。

【対象者】
国民健康保険に加入している方(被保険者)
※妊娠4ヶ月(12週)以上の出産(流産、死産、早産、人工流産も含みます)が対象です

高額療養費制度

【対象者】
社会保険の被保険者・被扶養者、または国民健康保険の被保険者のうち、1ヶ月の医療費の自己負担額が高額になった方。

【概要】
毎月1日〜月末にかかった医療費の自己負担額が、上限を超えた場合、その超えた額を支給する制度のことです。

【上限額】
上限額は年齢や所得に応じて、次のとおり定められています。

※1 総医療費とは保険適用される診療費用の総額(10割)のこと。
※2 療養を受けた月以前の1年間に、3ヶ月以上の高額療養費の支給を受けた場合、4ヶ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
区分①または区分②に該当する場合は、市区町村民税が非課税であっても標準報酬月額での区分①または区分②の該当になります。

医療費が高額になる見込みのある方

高額療養費制度は、医療費の支払い後に申請することで払い戻しが受けられますが、一時的な支払いは大きな負担になります。
しかし、医療費が高額になることが見込まれる場合は、医療機関窓口での1ヶ月の支払いが、最初から自己負担限度額までとなる方法があります。

1.マイナ保険証を利用する
オンライン資格確認を導入している医療機関で、健康保険証利用登録を行ったマイナンバーカードを提出し、「限度額情報の表示」に同意する

2.限度額適用認定証を利用する
オンライン資格確認を導入していない医療機関などを受診する場合や、マイナンバーカードの健康保険証利用登録を行っていない場合は、「限度額適用認定証」を保険証と併せて医療機関などの窓口に提出する

<参考文献>
国民年金の産前産後期間の保険料免除制度|厚生労働省|2024.3.11取得
国民年金保険料の産前産後期間の免除制度|日本年金機構|2024
従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得した時の手続き|日本年金機構|2023
全国健康保険協会(協会けんぽ)|2024.1.29取得
(高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)・高額な診療が見込まれるとき(マイナ保険証または限度額適用認定証))


この記事はSORATOMO編集部が独自に調査し編集したものです
記事の内容は2024年6月の情報で現在と異なる場合があります
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