赤ちゃんとのお別れについて、当事者がどれほど心を痛めているか。
理解し、寄り添ってくれる社会でありますように。
これまでに赤ちゃんとのお別れを経験した皆さまを対象に「言われて嬉しかった言葉・悲しかった言葉」のアンケートを実施しました。
このコラムでは、行政・病院関係者からかけられた「悲しかった言葉」、そして、「その時に感じた想い」をありのままに紹介していきます。赤ちゃんとお別れをしたばかりで心が不安定な場合は、どうか無理をなさらないよう、そっとサイトを閉じてくださいね。
また、言葉をかけられた時に「こんな想いをしたのは私だけかな」と不安やネガティブな想いを感じる方もいるかもしれません。同じ経験をしたママの気持ちを知り、当時の感情を肯定したり、不安だった気持ちを安心させたり…皆さまなりの受け止め方でご覧くださいね。その他にも、当事者と接する時にどう気をつければ良いのかわからない行政・病院関係者の方々の参考になれば幸いです。
※赤ちゃんとお別れ後のママは、感情的になることもあるため、強い言葉も掲載されています。また、相手との関係性や状況によって同じ言葉でも感じ方は異なり、全ての方が同じように感じるわけではありません。
ご協力いただいたアンケート
「言われて嬉しかった言葉、悲しかった言葉のアンケート」
回答募集期間:2024年3月1日~31日
回答数 :62件アンケートにご回答いただいた皆さま、ご協力ありがとうございました。
「言われて嬉しかった言葉~行政・病院関係者編~」はこちら
流産、死産を把握、配慮していない
「お母さん、赤ちゃん、お元気でお過ごしですか?離乳食教室のご案内です」(死産から約3ヶ月後、産院からの葉書)
死産という経験だけでも死にたいほど辛いのに、頼むからこれ以上傷をえぐって来ないで欲しいと思った。助けてくれなくていいから、傷をえぐるくらいなら放っておいて欲しかった。
「その後、妊娠の経過はいかがですか?」(保健センターからの電話面談の連絡)
死産届を出したんだからしっかり把握してほしい。寄り添う立場の人から、なぜ傷つけられないといけないのかと思った。
「死産・流産した方はお問い合わせください」(市役所の子育て応援金での手続き)
制度的に難しいかもしれないが、死産届、火葬の手続きなどをしているのにそこと結びつけてはくれないのかと残念な気持ちになった。
「そうだったんですね(困ったことはないですか?の質問に“流産経験があるのでこの子がきちんと成長するか(死なないか)の気持ちが強くて不安”と伝えた時に)」(保健師から)
流産したことを把握していないことに驚き、やっぱり上の子の存在は認められていないのだと悲しくなった。流産したことを伝えて「そうだったんですね」で会話が終了したので、話を聞いてもらえていないと感じた。
次の子が無事に産まれても流産経験から死への恐怖が強いこと、育児のプレッシャーが強く感じることを理解されないと感じた。
思いやりのようで、傷つけている言葉
「(死産は)乗り越えるのではなく、一生背負っていかなくてはならない」(助産師から)
入院時にかけられた。励ますつもりでかけてくれた言葉だったとは思うが、その言葉が事実だとしても、そのタイミングで言われたくなかった。自分でそう思えるようになる前に言われたくなかった。「一生背負っていかねばならない」という言葉に、悲しみが癒えそうになったり、他のことを少し楽しめるようになるたび、何度も苦しめられている。
「大丈夫ですか」(医師や看護師から)
医療従事者の方達なので、必要があって「大丈夫ですか?」と質問するのは理解できるが、こちらはまったく大丈夫などではなく、また「大丈夫じゃない」のを伝える元気もなく、ただ「はい」「はい」としか言えず、積もるように苦しかった。
配慮のなさ
「普通のお産だったけどあなたは違うからね」(医師から)
とても悔しかった。普通にお産をしたのだから他の妊婦さんと同じようにして欲しかった。
当事者の気持ちを知る一歩
すべての人が当事者の気持ちを理解することは難しいことでしょう。当事者の感じる悲嘆の感情は様々であり、言葉の受け取り方も人の数だけ存在します。しかし、アンケート結果からわかるように、当事者が行政・病院関係者から悲しい言葉をかけられている現状があるということも事実です。
まずは、当事者の方が抱える悲しみを知ってください。死別による悲しみは、時間が経てば薄れることもあるかもしれませんが、消えることは決してないのです。赤ちゃんとお別れをしたママが、数年後に次の子を妊娠するかもしれません。それでもママは、お別れした我が子のことを忘れることはなく、大切に想っているのです。
当事者は我が子との死別を経験したことで生じる『生きづらさ』と常に戦いながら、社会で生きていることを忘れないでください。我が子とお別れをしたということを、言葉に出すのも苦しいことがあります。それでもその気持ちを押し殺して、社会で生活しなくてはなりません。
心が壊れそうになった時、当事者は行政や病院関係者に助けを求めることがあるかもしれません。藁にも縋る思いで、真っ暗な感情の中なんとか勇気をふり絞って、助けを求めています。どうか力になってくれることを願います。
少しでも多くの人に当事者の気持ちを知ってもらい、当事者がその苦しみをひとりで抱え込まなくてもよい社会になりますように。
著者(取材・文=SORATOMOライター わだゆり・小野寺ゆら)
「言われて嬉しかった言葉~行政・病院関係者編~」はこちら
この記事はSORATOMO編集部が独自に調査し、編集したものです
記事の内容は2024年3月の情報で、現在と異なる場合があります
こちらは個人の経験談であり、全ての人に当てはまるものではありません
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