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赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰について

女性の社会進出が進み出産と仕事を両立するケースが増えているなか、働きながら赤ちゃんとお別れを経験する女性も今後ますます増えていくことが考えられます。

しかし流産や死産、新生児死等を経験した人の職場復帰へのサポートや制度は、残念ながらまだ十分とはいえない現状だと思います。

まだ心身が回復していない中、復帰して前と同じように働くことはできるだろうか、休職してもう少し休んだほうが良いのだろうか、など悩んでいる方は多くいるでしょう。

そこでSORATOMOでは『赤ちゃんとお別れを経験した働くママの職場復帰の現状を知る』という目的でアンケートを実施しました。

ご協力いただいたアンケート

「職場復帰についてのアンケート」
回答募集期間:2024年7月2日~9月15日
回答数   :42件

アンケートにご回答いただいた皆さま、ご協力ありがとうございました。

赤ちゃんとお別れ後の状況について

職場の環境は赤ちゃんとのお別れについて理解があると感じましたか?

その理由を教えてください

理解があると感じた理由

  • 想定より早い産休の対応も素早く対応してくれた、復職を急かされなかった
  • 「心も体も休めて」と言われた。産休後にリモートワークもできるかもしれないと提案してくれた
  • 部長は負担が重くもなく軽くもない担当を割り当ててくれた
  • 「産後休暇後も休職してもいい、いつ戻ってきてもいいよ」と言ってくれた
  • 復職の場合、元の部署が良いか、別が良いかを聞いてくれ、休職を選んだ時も快く手続きを進めてくれた。その後復職する際も、出社場所を元の部署の人がいないオフィスにするかどうかも聞いてくれた
  • 心が落ち込んでお休みすることになっても理解をしてくれた
  • 「仕事のことは気にしないで、自分が戻りたいタイミングで戻ってきていい」と言われた。上司は必要な方にだけ事情を伝えていただけたし、同僚も復帰後そこまで腫れ物扱いせず、以前同様に接してくれた

理解がないと感じた理由

  • 何も配慮がなく、体調不良により業務の負担軽減を自分から相談したが対応してもらえなかった
  • 死産した時に産休がとれることを理解していなかった
  • 死産して間もなく「来月には復帰できる?」と聞かれた
  • 産休中に「なんで仕事を休んでいるのか、みんなの前で自分の口からみんなに説明してほしい」と言われた
  • 通常通りの事務的な離職の手続きのみだった
  • 仕事復帰したが、普通に働いているからと配慮なく仕事を任されるようになった

その他

  • 直属の上司は理解してくれていたが、休職や退職の手続きをする総務課の方は、業務的だなと思ってしまった。仕事だからしょうがないと思うが、冷たく感じた。
  • 所属部署がたまたま恵まれていた。他部署だったら、環境は整っていなかったと思う。
  • 上司は分娩で急に休まないといけないことや、突発的な産休への勤務調整も含めて、言動も対応も本当に優しく対応してくれたが、一部の人は出産したと思ったり、死産のこともわからず「生理みたいなものなのになんで2ヶ月も休むのか」と疑問だった模様
  • 医療職だったのもあってか、理解を示してくれたような気がする。受け止めたり、共感してくれたり、反応は様々だったが、批判する(仕事休んで迷惑など)反応は見られなかった
  • 多少の配慮はあったが全員が配慮してくれるわけではなかった

赤ちゃんとのお別れ後、復職しましたか?

復職した方について

赤ちゃんとお別れをした後、どのくらい仕事を休みましたか?

もし休めるのなら、どのくらいの期間お休みしたかったですか?

復職を決めた理由を教えてください

  • いつも子のことばかり考えて苦しくなり、家にいるとどんどん気持ちが落ちてしまうので気をまぎらわせるため
  • 休職方法がわからなかった、職場に問い合わせる精神力もなかった
  • 職場からの要請(産後休暇8週が経過したから)
  • 産後休暇中は、子育てもしてないし、働いてもいないし、ただ泣いているだけで、自分には何も生産性がないと感じていた。もし休むとなるとこの状況が変わらず続くだけで、私にとっては家にいるのは毒だった。それなら社会復帰し、次の妊娠に備え費用を稼ぎたいと思った
  • 経済的理由と仕事を忘れてしまう、あるいは置いていかれることへの不安
  • このまま家にいるともう社会に復帰できないかもしれないという気持ち
  • 今の職場でお別れの経験を通して誰かの力になりたいと思ったから。職場の人が待ってくれていると思ったから

復職して良かったと感じていますか?

その理由を教えてください

復職して良かった理由

  • 無理やりでも生活リズムが元に戻った。不妊治療費を稼げた
  • 家族以外の人との関わりが持てる。仕事中は忙しいので時間が過ぎるのが早い
  • 仕事によって社会とのつながりを感じ、良い意味で気がまぎれた
  • 自分の気分転換にもなったし、外に出るきっかけにもなった。また、自分自身の気持ちや周りの人の考えも知ることができた
  • 美容師なのですが、復帰を待っててくれて、「おかえり」と言ってくれたお客様ばかりだった
  • 多少なりとも人様の役に立っていると実感できるので、自分の無価値感のようなものが少し和らいだ気がする

復職して良くなかった理由

  • 復帰後も精神的に辛く死産から半年ほどたった今もメンタルが回復しない。もっとゆっくり休みたかった
  • 自分の感情のゆれが周囲に悟られないかが不安で、自信がなくなってしまった
  • 仕事をしていても泣いたり、何か自分の中でおかしいと思いながら仕事を続けていた
  • 自分が思っているよりメンタルが回復していなかった
  • 死産や不妊治療に対して理解が乏しい
  • 気が紛れても、ふとした瞬間にどうしようもないくらい悲しい、苦しい感情がきて、仕事どころではなかった

その他

  • 復帰して1週間経ち、今までになかった精神的な疲労を感じてつらい
  • 復帰直後に同僚に妊娠を報告され、配慮しなくてはならない雰囲気がつらかった
  • 職場でいつか泣いてしまうのではないか、ということが怖かった
  • 辛い思いをするときもあるから
  • 仕事をしていると気持ちがまぎれる。一方で妊娠報告を聞いたり妊婦さんや赤ちゃん連れを見たりするのがつらい

周囲(家族や職場の人など)の反応はどうでしたか?

  • 家族は寄り添って支えてくれたが、職場の人は無関心。急に休んだことへの不満を遠回しに言われたり、偶然耳にすることもあった
  • 「仕事復帰=元気になった」と思われていた。また悲しい気持ちを抱えたまま仕事するのがとても辛かった
  • 職務復帰初日は、接し方をお互い手探りしてる感はあった。腫れ物扱いされる覚悟はあったが、敢えて普通に接してくれたように感じた
  • 気を遣われているように感じた。いつもどおり接して欲しいと思っていたが、今思うとやはりぎこちないというか、よそよそしいというか……たぶんどう接したらいいか分からなかったんだと思う
  • 職場の人は「おかえり、無理しないでね」と言ってくれる人もいた
  • 家族は心配しながらも復職を喜んでくれた。職場は初日こそ気まずそうな方もいたが、すぐにいつもどおりになった

今仕事について悩んでいることはありますか?また、その原因がわかれば教えてください

  • 復職後、体力や気力が落ちていて思うほど仕事がこなせず負担になっている
  • 今は妊娠前と同じ業務を振られるようになり、少し負担を感じているがその気持ちを上司に伝えるか悩んでいる
  • 『赤ちゃんを亡くしたことを忘れられているのではないか』という孤独感がある
  • メンタルが安定しない。理不尽なクレームや怒鳴る客の対応もしなければならないので負担が大きく休日出勤の強制や緊急対応もあり心が休まらない
  • 妊娠中の同僚のサポートをしながら働くことが精神的に負担
  • 仕事内容的に子供に関わるタイミングがあり、苦しい。人手が少ないのでメンタルの調子が悪くても休みにくい
  • 誰がどこまで知っているか正直分からないので、他部署の知り合いと会うことにあまり気が進まない。知らない人に報告することがつらい
  • 気持ちを整理するために少し休みたい。復帰後の面談やフォローがなく伝えられない
  • 仕事と不妊治療の両立。不妊治療を優先したいと話したがシフト変更を依頼すると人手不足だと嫌味を言われた

離職した方について

離職を決めた理由を教えてください

  • 不妊治療が体外受精にステップアップするため、フルタイムで働き続けるのは難しいと思った
  • 妊娠中無理して働いてしまったこと、赤ちゃんのことを第一に過ごせなかったことに後悔した為
  • 元々いた場所に戻るしかなく、仕事に復帰した自分を想像しても、絶望感しかなかった
  • 宙ぶらりんな状態が辛くなったのと、会社の人達に申し訳ない気持ちから
  • お客様から妊娠出産関連の話題が出たときに以前のように笑顔で対応することができなくなった
  • 産休をとっていたことが勤務表からわかるため、赤ちゃんが無事産まれたと勘違いして話しかけられるのがしんどかった
  • 先輩と同期と後輩に妊婦がいて、お腹が大きくなっていく様子を見るのが辛かった

離職して良かったと感じていますか?

その理由を教えてください

離職して良かった理由

  • 身体や自分のメンタルを優先できているため。少しずつ回復してきている自分を実感できている
  • もやもやした気持ちがすっきりした。次に進める
  • 仕事のことは忘れて、ストレスのない環境で下の子を妊娠、出産することができた
  • その後2回ほど流産した際に、勤務調整や休む際に事情を話す負担がなかった
  • ハードな仕事で元々辞めたいと思っていたので一つのきっかけになった。また、妊娠中の事を知っている人たちに気を遣われながら仕事をするのが嫌だったので離れられてよかった
  • お金に余裕はないため、常に不安はあるが、家族のために生活ができているため

どちらでもない

  • 趣味で心が穏やかになる気持ちと、夫は働いているのに私は働いていない申し訳なさがあって辛い気持ちもあった

周囲(家族や職場の人など)の反応はどうでしたか?

  • 上司にだけ本当の退職理由をメールで伝えた。とても気にかけてくれ、部署内のメンバーには違う理由で退職する旨を伝えてもらった
  • 夫は理解してくれた。職場の同僚達も理解してくれていると感じる
  • 「やりがいよりも体や心を優先して元気になってほしい」と言われた
  • 夫や両親は、「休んだ方が○○(私)のためになるよ」と肯定してくれた
  • 職場の人は、辞めて欲しくないけど仕方ないね……という反応だった
  • ゆっくり休んでほしい、と周りはそっとしてくれた

今仕事について悩んでいることはありますか?また、その原因がわかれば教えてください

  • 復職しなきゃと焦る気持ちと安全に授かりたい気持ちで、毎日悩んでいる
  • 不妊治療やペリネイタルロスを経験していない人との温度差。私からすると、かなり身体や精神への負担が大きく辛いのだが、職場の人はそれが想像もつかないから気遣うこともなく、休まれると困るオーラ全開。もちろん理解を示そうとしてくれる人もいるが、理解してくれない人に休む理由などを説明するのが一番しんどい
  • 現在派遣で働いてるので正直収入がきつい。正社員になりたいがブランクもあり、採用面接で子どものことを聞かれるのが怖くて踏み出せない
  • 働きたい気持ちは出てきたが、次の妊娠時に無理をしたくなく、まだ動き出せずにいる

再就職はしましたか?また、その予定はありますか?

再就職をしようと思った理由やきっかけを教えてください

  • 夫の稼ぎだけでは今後やっていけない。自分も仕事や何かをしていたい気持ちはある
  • 無事に産むまでは、社員ではなくとも働き方を変えて何かしら社会貢献したいと考えていた
  • 子どもという希望が無くなった今、自分の将来(老後)のためにも経験を積むこと、稼ぐこと、社会との繋がりを自分が求めたから
  • 2年間専業主婦をしていて、その間に死産も経験したので、何か始めないと心が辛かった
  • 離職後、このまま家に1人でいると塞ぎ込んでどんどん悪化していくと思い、復職を決めた

以前、勤めていた勤務形態とどのように変化しましたか?その理由も教えてください

  • フルタイムの正社員から時短正社員
  • 会社の配慮で部署が変わり交代勤務から日勤になった
  • フルタイムからパートに変えた
  • 正社員から派遣社員へ変えた
  • 業務委託契約で在宅の仕事をしている(在宅は周りの目も気にせず、相手も私の事情を詳しく知らないので気が楽)

職場復帰のタイミングや方法は人それぞれ

アンケートの回答をみると、どのくらいで職場復帰できると感じるか、復帰したいと思うかは人によって異なります。働くことで気がまぎれるという人もいる一方で、以前と同じように働けない人、自分の辛い経験を理解してもらえない環境で働くことに気が進まない人もいます。また経済的な理由で復帰せざるをえない人も少なくありません。赤ちゃんとお別れした経験が、仕事に対する考え方にどのように作用するかは人それぞれなので、一人ひとりの状況に寄り添ったサポートが必要です。

また職場に復帰することがゴールになりがちですが、復帰しても無理なく働き続けることができる状態であることが大切です。心身の不調が続く場合は医療機関への受診を検討し、自分の気持ちや体調を優先し無理せずゆっくり休んでください。

心の負担を軽くするために1人で抱え込まない

赤ちゃんとお別れした後、1人で悩みを抱えてしまっているという方は同じ経験をされた方が集まるお話会に参加してみるのも良いかもしれません。

人に話をすることで、気持ちが楽になったり、気持ちを整理することにつながり、心の負担を和らげる助けになります。

<SORATOMOではオンラインおしゃべり会を開催しています>

体験や気持ちの分かち合い、不安な気持ちや心配事を共有、本音で話をすることができる場です。背景はそれぞれ違うけれど、参加者みんなが赤ちゃんとお別れをしたママ同士です。

どんなキモチを抱えていても大丈夫。ひとりで悩まないで参加してみませんか。

開催予定イベントのお知らせ

赤ちゃんとお別れをしたママが生きづらさや働きづらさを感じず、そして苦しみをひとりで抱え込まなくてもよい社会になるために。

SORATOMOは社会全体で解決しなければならない課題にこれからもむきあっていきます。

著者(取材・文=SORATOMOライター 池奈 佑)


この記事はSORATOMO編集部が独自に調査し編集したものです
記事の内容は2025年3月の情報で現在と異なる場合があります
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