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赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰に必要なサポート

SORATOMOでは、“赤ちゃんとお別れを経験した働くママの職場復帰の現状を知る”という目的でアンケートを実施し、「赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰について」のコラムを掲載しています。

▼「赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰について」はコチラ

働くことで気がまぎれるという人もいる一方で、以前と同じように働けない人、自分の辛い経験を理解してもらえない環境で働くことに気が進まない人、経済的な理由で復帰せざるをえない人など、様々な回答が見られました。社会全体が「赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰の困難」という課題を抱えており、一人ひとりの状況に寄り添ったサポートが必要であるとわかりました。

そこで今回は、皆さんが回答してくださったアンケート結果をもとに、「赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰に必要なサポート」についてまとめてお伝えします。赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰時にどのようなサポートがあれば良いかを考えるきっかけになることを願います。

ご協力いただいたアンケート

「職場復帰についてのアンケート」
回答募集期間:2024年7月2日~9月15日
回答数   :42件

アンケートにご回答いただいた皆さま、ご協力ありがとうございました。

赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰について、どのようなサポートがあれば、良いと思いますか?

  • 産休だけでは心身ともに回復するのが難しい。産休期間終了後、病気休暇としてではなく、制度としてもう少し長い期間休めるようになってほしい
  • 復職する前に面談を設け、本人に話を聞きながら配慮できる体制や環境を整えてほしい
  • 職場の上司や同僚に当事者への接し方が周知されている
  • 復帰後、気持ちの浮き沈みがあるため、負担なく働けるよう業務の見直しや、勤務時間や勤務体系を相談できる場がある
  • 会社で流産死産の際のサポートについて整備してほしい(書類系の提出時に、死産の場合どうなのかと自分から聞かなければならない時が何度かあり、その度に苦しく悲しい気持ちになった)
  • 職場に赤ちゃんとお別れをした経験者がいるなら、職場復帰時の体験談を聞きたい
  • 希望すれば部署異動ができる(これまでのスキルを活かせるような環境だとなお良い)
  • キャリアについて精神的なケアも含め、気軽に相談や話を聞いてくれる場所があるとよい
  • 妊娠出産に関する理解教育や研修をする(予定通りに出産を迎える人ばかりでないということや、流産・死産後も「産後の身体」であることを理解してほしい)

赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰においてどのようなサポートがあればよいか

赤ちゃんとお別れしたママが職場復帰する際には、心と体の回復に配慮し、無理なく働ける環境を整えることがとても大切です。以下のようなサポートが職場側にあると、安心して仕事に戻ることができるのではないでしょうか。

1. 柔軟な勤務体制の提供

  • 時短勤務や在宅勤務の選択肢:体調や気持ちに配慮し、時短やリモートワークの選択肢がある 
  • 業務量の調整:復帰直後は負担の少ない業務からスタートし、徐々に通常業務に戻れるよう配慮する
  • 段階的な復職プラン:少しずつ仕事に慣れる時間を確保し、最初は短時間勤務や週に数回の出勤から始められる制度を設ける

2. 心理的サポートの充実

  • カウンセリングの利用支援:必要に応じて、社外の専門カウンセリングやメンタルヘルス支援を受けられる制度を設ける
  • 相談しやすい環境作り:上司や人事担当者が適切に対応できるよう、グリーフケアに関する理解を深める。話しやすい環境を作り、悩みを気軽に相談できる担当者を配置する

3. 職場の理解と配慮

  • プライバシーへの配慮:産休・育休明けとの違いを理解し、無理に理由を詮索したり、状況を公にしたりしないようにする
  • 上司・同僚への理解促進:グリーフ(喪失の悲しみ)について学ぶ機会を設け、当事者への配慮を伝える
  • 本人の意思を尊重する連絡体制:周囲がどう接するべきか分からないこともあるため、上司や人事担当者が事前に本人の希望を確認して対応する

4. 休暇・制度の活用支援

  • 特別休暇の付与:体調不良時や心のケアが必要な場合、病気休暇や特別休暇を使いやすくする
  • 休職制度の柔軟な対応:希望があれば、心身の回復を優先し、休職期間を柔軟に延長できるようにする

5.復帰後のフォローアップ

  • 業務分担の調整:復帰に向けた面談では、無理のない働き方を一緒に考える。負担の少ない業務から始め、体調やメンタルに応じた柔軟な役割を与える
  • 定期的な面談の実施:復帰後も定期的に状況を確認し、不安を軽減する
  • 職場環境の見直し:復帰後の負担が大きくなりすぎないよう、必要に応じて業務分担や働き方を見直す柔軟性を持つ

赤ちゃんとお別れしたママの職場復帰において、“本人の気持ちを尊重し、無理をさせないこと” “周囲が気持ちに寄り添い温かく見守る環境を作ること”がとても大切です。
今後「職場復帰の困難」に対する理解が社会に広まり、流産・死産・新生児死等を経験した方のサポートや復職支援への積極的な取り組みが増えていくことを切に願います。

著者(取材・文=SORATOMOライター 池奈 佑・小野寺ゆら)


この記事はSORATOMO編集部が独自に調査し編集したものです
記事の内容は2025年2月の情報で現在と異なる場合があります
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