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社会保障制度の活用

はじめに

社会保障制度とは、国や都道府県、地方自治体が運営する「国民の安心や生活の安定を支える」仕組みのことです。
「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」で成り立っており、国民の生活を生涯にわたって支えています。

赤ちゃんとのお別れに直面した際、不安の1つとして、分娩や手術にかかる費用負担や働けない期間の収入の減少など、お金に関することが挙げられます。

この不安を解消するために、様々な社会保障制度が整備されていますので、内容を把握し、適切に活用しましょう。

社会保険とは

ここからは、社会保障制度の1つである「社会保険」について説明します。
お金に関する話や手続きの中に出てくる「社会保険」という言葉に混乱する方も少なくありません。

まずは、「社会保険とはなにか」を再度確認してみましょう。

社会保険とは?

国民が病気、けが、出産、死亡、老齢、障害、失業など生活に困難をもたらす様々なことに遭遇した場合に、一定の給付を行うこと。生活の安定を図ることを目的とした、強制加入の保険制度。

「扶養に入っている方を除き、被保険者(働いていて一定の収入がある方は被保険者となります)となるべき人は強制加入となる制度」と理解しておくとよいでしょう。

※保険を提供する側を保険者と呼び、保険に加入する側を被保険者と呼びます。

また、「社会保険」という言葉には「広い意味(広義)」と「狭い意味(狭義)」があります。その分類方法は様々ですが、ここでは次のように整理します。

以下、このコラムでは「社会保険=狭義の社会保険」として記載しています。
このうち、「健康保険」については、保険者(健康保険を運営する組織のこと)によって図のとおり、大きく「全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」と表します)「健康保険組合」「共済組合」の3つに分けられます。

※扶養に入っている方(以下「被扶養者」と表します)は、被保険者の被扶養者認定を受け加入することになります。

協会けんぽとは

主に中小企業を対象とした医療保険を運営している組織です。
国民の約3人に1人の約4,000万人が加入する日本最大の医療保険となっています。

健康保険組合や共済組合などについては、協会けんぽが提供している制度に加えて「付加給付」が独自制度として存在する場合があります。
協会けんぽの制度を理解した上で、勤務先または加入している保険者に問い合わせてみてください。
ここでは、多くの方が加入している「協会けんぽ」を、基本の制度として取り上げます。

お金に関する制度

加入している保険ごとに、受けられる制度をまとめました。

(※1)②③になる前に、1年以上社会保険の被保険者として勤務し、出産手当金や傷病手当金を受けている途中で退職または資格を喪失した方は受給できることがあります(資格喪失後の保険給付と言います)。
(※2)市町村国保では原則ありません。ただし、一部の国保組合では支給される場合があります。
(※3)各市町村により制度の有無は異なりますので、お住まいの市町村にご確認ください。

民間の医療保険について

ネットやテレビCMなどで広告されている民間の医療保険もあります。
こちらは強制加入となる社会保険(健康保険)と違い、自分が入りたい保険に任意で加入することができます。
民間の医療保険に加入している方は、年末に年間の保険料の支払い総額が書かれた控除証明書が届きます。

通常の出産に対応した給付はほとんどありませんが、帝王切開やいわゆる異常分娩など、分娩の医療介助が行われたときに、入院給付金や手術給付金などの給付を受けられることがあります。
加入している保険によって保障が異なりますので、ご自身の契約内容を保険会社にご確認ください。

<参考文献>
社会保障とは何か|厚生労働省|2024.1.12取得
従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得した時の手続き|日本年金機構|2023
高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省|2024.1.12取得
全国健康保険協会(協会けんぽ)|2024.1.12取得
(子どもが生まれたとき・出産で会社を休んだとき・傷病手当・病気やケガで会社を休んだとき・出産費貸付制度・高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)・被扶養者に関する給付 協会けんぽの概要)


この記事はSORATOMO編集部が独自に調査し編集したものです
記事の内容は2024年3月の情報で現在と異なる場合があります
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